2008年11月30日

いっぷくvol.5_赤石温泉 白樺荘

都会に行くより温泉…、そんな初冬のネルでございます♪

井川の山奥のそれはもう奥、南アルプスの尾根の麓にある日帰り温泉。
「温泉って、こんなに素晴らしいんだ!!!」って気付かせてくれた、赤石温泉 白樺荘。

それが平成21年の春、建て替え移転のために旧建物は閉鎖されると聞き、いても
立っても居られず行ってきてしまったのです♪

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘
■赤石温泉 白樺荘 [日帰り温泉施設]
静岡市葵区田代1005
054-260-2021
10:00~16:00、火曜・年末年始休、入浴無料

で、とにかくイヤになるほど遠いのです(笑)。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

静岡駅を基点に曲がりくねった山道をうねうね上へ上へ、その距離約77キロ。
およそ片道3時間。つまり日帰り温泉旅行にもかかわらず旅程の大半、つまり6時間は
車内に閉じこもりっきり!!

ヒー!これって実際やってみると、かなり辛い…。

行きはまだいいものの、小さなお子さんや温泉あまり興味のない人と一緒だと
帰りは険悪なムードになりかねない?ほどの苦しい行程。
ドライバーがひとりしかいないと、その負担も大変なものに。

今回A氏にその辺たっぷり十分説明して、前日までに白樺荘&土木事務所に
道路規制や通行止、迂回路をよくよく確認しての、朝7時出発。

市内からの行程はざっくり

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

>静岡市街→牛妻→井川・梅ガ島方面→富士見峠→井川ダム→畑薙ダム手前で到着!

といった感じ。
数々の集落、小川にかかる橋、中部電力の井川ダム構内、ごろごろと落石のある狭い
山道を通りぬけ、たどり着いたのは10時5分前!

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

ヤッタ、3時間かかったけど、着いたヨ・・・。。。


白樺荘をはじめて訪れたのは、もう7~8年前。

温泉と名のつくものにアレコレ行ってはみたものの、静岡の湯といえば無色・無臭・無味
のサラリとしたものばかり。どうも泉質というものにピンときてなくて。

それがこの白樺荘の湯に浸かって、ガガガーン!!・・・これって。。。
今までに感じたことのない、大きな衝撃が。

うっすらほのかに、優しくふんわり満ちた硫黄の香り。
とろりとした化粧水のように、まろやかに肌に絡みつく湯。
ほんのり緑だったり、天候によって無色から白濁や黄緑にも変化する水色。

うわーーー、ナンダコレ。こんなの、初めてだ。。。
温泉の特徴?力?ってこんなにハッキリ分かるものだったんだ。。

なんの飾り気もない内湯のタイルの浴槽は、40度を下回るぬるめの湯。
のぼせたりガマンする必要もなく、いつまでも、心行くまで浸かっていられる。

大きく天井まで開く窓を開ければ南アルプスの山の空気と香りが流れ込み、
白樺の梢が木陰を作る。


・・・露天風呂であるとか、眺めがいいとか、檜の浴槽とか。
そういうお気に入りがなくたって、あーやっぱり温泉って素晴らしいんだ、
温泉に効能があるって、目に見えなくたって本気で信じられる気がする・・・

心からそう思えた、記念すべき温泉なのです。

★ ★ ★ ★ ★ ★

久しぶりの訪問にも関わらず、様子は以前と全く変わらず。
この施設、もう50年以上前に完成した井川ダムを建設していた中部電力関係者の
皆さんの寮として使われていた建物を利用したもの。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

無料施設なので受付は入口にあるノートに住所と人数を書くだけ。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

ガラスの引き戸をくぐれば大きなゲタ箱、長い廊下、水飲み場に共同トイレ。
どこを見ても昔の小学校みたいな懐かしさが漂っている。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

これまた無料の2階個室を借りようとしたら「暖房が入ってないから寒いですよ」って。

そうだそうだ、以前来たのはもっと気候のいい頃だったんだ。。
個室は諦めスチームの入った大広間に荷物を置いて、さっそく浴場へ。

浴場は男女別の内湯が各1つづつ。10人ほどが定員の浴槽は中が2つに区切られ、
あたたか&ぬるめ と分かれている。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘
写真は男湯。

女湯はあたたかが39℃、ぬるめは37℃くらい。
すでに先客、5名の60代位の奥様たち。あたたか、に浸かっておしゃべりも絶好調♪
全員近くの集落の方らしく、○○集落には街からお嫁さんが○人来て、幼稚園の子ども
が○人いるよ~なんて話題で盛り上がってる。

ネルはぬるめ、に浸かる。
ひさしぶりのこのお湯、やっぱりすごい。このトロトロ、トゥルトゥル感。。

くず湯を思い出すような密度のある液体に、ふわっと押し上げられるような感覚。
入ってるだけで身体が軽く感じられてしまうほど。

<源泉>
 泉質  /単純硫黄泉(低張性アルカリ性温泉)
源泉温度/38.2℃
湧出量 /毎分329L(掘削自噴)
 PH値 /9.3  

※単純硫黄泉_1L中に硫黄を2mg以上含み、硫化水素を含まない(分析書にHS-12.7とあった
        のは??)。メラニン&老廃物排出など、デトックス効果が期待される
※低張性_人間の細胞液より浸透圧が低く、入浴後疲れを感じにくい
※pH値_酸性orアルカリ性を示し、白樺荘の「9.3」は高いアルカリ性。
      一般に古い角質やくすみをとる「美肌湯」の基準はpH7.5以上。



<浴槽の状況>
かけ流し_加水・循環ろ過・入浴剤・消毒/ナシ 、加温/アリ

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘
対岸にある市所有の源泉に市の施設だから、「自家源泉」ってことでいいのかな♪
浴槽は100%温泉の湯が満ちた「完全かけ流し」。
これに長湯OKの「低張性」と「高PH&硫黄泉」の合わせ技がじわじわと効いてくる。

引湯してくる間に源泉温度はどうしても下がってしまうので、加温はアリで。
あとはぷりぷり、生まれたての超良質な湯がざぶざぶ&なみなみと溢れて。

こういった様々な要素がこの居心地のいい泉質を保ってくれている。
なかでも注目したいのは、この湯が自然湧出している「自噴泉」であること。

その昔は自噴していた名湯でも時代と共に徐々に湧出量が減り、ポンプなど人工
的な動力でくみ上げた湯を使うのが一般的。
大きな浴槽をいくつも同時に、24時間常に満たすには、どうしても機械で一定量
を汲み上げ続けるしかない、というのが多くみられる事情なよう。

自噴かどうかは浴室に掲示されてる温泉分析書でもほとんど目立たず、雑誌等でも
あまり注目されない。それに人工的に汲み上げた湯と自噴した湯の効能がどれだけ
違うのかは、各々の使用状況等にもよるので一概には比べられないし。

ただこれぞ!!と感じた泉質の湯の共通点を探っていくと、やはり「自噴泉」に辿り
着いてしまう。よろしければ温泉めぐりのご参考に、どうぞ♪♪♪


・・・ぬるめ、に浸かって5分ほど。だんだん身体が冷えてきた。。
でもあたたかスペースは相変わらず満員御礼。どうしようか迷ってたら

「ホラ、おネエさん、冷えちゃうからこっちおいで!」
わー待ってましたヨ、そのお言葉♪

浴槽のあたたかスペースに移動したのはネルも含めて3名の総勢8名、
全員ぎゅうぎゅうで浴槽の壁に張り付き、体育座りで車座になって。

まったく知らない人と面と向かってハダカで車座って、すごい状況かも(笑)。
ローカルな話題が目の前でびゅんびゅん繰り広げられてく。

やっと身体があったまってきて、ほっとひと息。すると第二陣のオバ様たち3名が
ガラガラと浴室に。一陣のオバ様たち5名、全く動く気配ナシ(笑)。
こりゃネルが場所ゆずらないとね♪


時間は11時。
ちょっと早いけどA氏と合流して食堂へ。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

聞き覚えのあるテレサ・テンのCDがガンガン流れる食堂。
常連らしい先客のオジサマが2人。キープしてある焼酎を片手に、何かつまんでる。
あーそうそうこの食堂、こういう地元の人の憩いの場的雰囲気だったよね。。

ずらりと並んだ木札のメニューは意外や種類豊富。
そば、うどん、ラーメン、カレーとセットメニューが揃って値段も高すぎないし、
リーズナブルなおつまみもけっこうある。

運転でお腹のすいたA氏は「カツ丼セット」、ネルは「むかご」と「味噌田楽」。

テーブルにはお茶の入った大きな急須と湯のみ、熱湯の入ったジャーポット。
ホント学校のお茶の時間みたい。

自分でプラスチックの湯飲みにお茶を注いで、そのおいしさにびっくり!!
渋さのなかにもまろやかさが出てて、ウマー!
茶葉も良さそうだけど、やっぱり水の違いかなぁ。。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

山芋の実の「むかご」。茹でてバター炒めにしてある。
ほくほくプチプチ、おいもっぽくて野趣もあって、山に来た~って実感♪

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

「味噌田楽」はこんにゃくがふるふる。
灰汁のヤなニオイも味もまったくしない、この涼しさ。たぶん手作りこんにゃくかな~。
スプーンで一口大にすくって、あーオイシイ、やーイイナ♪

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

A氏のカツ丼&そばもなかなかのボリューム。
カツ丼はちゃんと手づくりの味。こんな山の中でコレぐらい出してくれれば、
そりゃもう満足できるっていうもの。

食後は裏山を散策。
以前来た時に使用していた引湯用のポンプは止まっていて、代わりに新しく設置
されたぴかぴかの大型ポンプが動いていた。

以前のポンプでは引いても湯船で使いきれない湯がホースからざぶざぶあふれて
裏の小川に注ぎ込んでたのにびっくりしたけど、今はそんな様子もみえない。
使う分だけ上手に引けるよう、進化したのだろうか。

★ ★ ★ ★ ★ ★

休憩後は浴槽(あたたか)目指して再度チャレンジ!

今度はあたたかにご婦人がひとりだけ。
でも一緒に入るのはどこか気が引けて、やっぱりぬるめスペースに入ってしまう。

すぐに話しかけてきてくれたご婦人、ここのすぐ下の集落の人なのだそう。
切り傷を治したとか漆のかぶれを治したとか、泉質自慢をたっぷり教えてくれた。
こういう話って調べて分かるものじゃないし、聞いてるだけですごくオモシロイ。

「こうやってね、話してないと一人でヒマになっちゃうでしょ。
できるだけ長ーく浸かってたいから、すぐ誰かに話しかけちゃうの。ウフフ♪」

そーかそ-かそーか、ご婦人の告白にガッテン!
こういう大衆浴場に一人で入っていると、地元らしい方から話しかけられるのが常。
親切っていうのとはちょっと違う気もするし、いつもナンでかなぁ?と思ってて。
あぁそういうことだったのね、って初めて理由が分かった(笑)。そーだったのかぁ!


ご婦人が上がって、浴槽にはネルひとり。
あたたか側に移って、あーいい感じ。冬のぬるめは、ちょっと寒い(笑)
思い切り窓を開け放てば、南アルプスの尾根の向こうから流れ込んでくる硬い山の風。

ゆるゆるとまとわりついてくる薄緑の湯。
ふぅー、気持ちイイなぁぁ。。ありがたいなぁぁ。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

こんな山の奥で、こんな小さな湯船だから、このお湯が保てるんだって改めて実感。
もしネルが超大金持ちでヘリを持ってたら、週一位で静岡ヘリポートからひょこって
5分で飛んできちゃうのになぁ。くぅ~。。


午後2時。
そろそろ戻らないと。
網に入った生のむかご300円をおみやげに購入。

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帰る前に「ここから5分もいかないくらいだよ」と湯船で教えてもらった、新・白樺荘の
建設地を見に更に山の奥へ。

ご婦人によるとここは昔短期間だけ中部電力が経営していた湯治場があった場所で、
元々湯の沸いているいい場所らしい。

いっぷくvol.5_赤石温泉  白樺荘

広い敷地には白樺のキレイな木が数本。
向こうには南アルプスの山々が幾重にも重なって水墨画のように見える。

新しい施設は入浴料があるけど、露天風呂や個室休憩室もできるらしい。
泉質、どうなるのかな。
今と変わらず、もっと良くなってたらいいなぁ。

建て替え前に、がんばってもう一回行ってみよっかな。


<今日のお会計>
1850円・2人/入浴料無料
         カツ丼セット1100円、むかご200円、味噌田楽300円
         ノンアルコールビール250円

<店を出て>
ネル:★★★★☆/温泉ってこういうものなんだろうな
   お湯に浸かっているとほっとするし、安心できる。少しぬるめの温度
   とかほど良い香りや泉質も、ずっと浸かっていたくなる理由だと思う。
   もう少し近ければなぁ。でも遠いからこんなに行ってみたくなるのかな。

A氏:★★★★☆/大変だけど、来る価値はある
   これが葵区だとは。。井川区にするべきだ!
   泉質には大満足。食堂も種類がいっぱいあってそこそこおいしかった。
   季節が良ければ個室休憩もできたし。道中ツライけどまた来たいな。



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