2008年08月25日

055 まるはん へそ曲り [藤枝]

京都・祇園祭りの夜に、舞妓さん&芸妓さんのお座敷で散財して以来
約1ヶ月ぶりの外食へ。

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最初席についてくれたのは、祇園甲部所属、水色の絽の着物の舞妓・Sさん(16歳!)。
可愛かったなぁ。。
白塗りおちょぼ口のあどけない笑顔に、気さくでそつのない会話。
ほんとによく働くナ。。
エライなあぁぁ!

毎回舞妓さんと何か出会いがある度に、こんな若い人が伝統と競争のなかで生きて
るんだから、私だってがんばらないとと勝手に感動してしまう。

もうひとりの芸妓さんもお三味線が上手で、秋の発表会にむけて一生懸命練習してる
最中なんだそう。

ジバラで祇園の舞妓さんや芸妓と飲むことなんて、もう一生ないだろう。
ちょっとオヤジっぽい趣味かもしれないけど、これだって経験のひとつ。

でも同じ女性同士だから、会話の内容にはことのほか気を使う。
やっぱり聞かれてほしくないことはこちらだって避けたいし、できれば相手が話しやすい
内容を振ってあげたいと思う。
なんていうか、ネルと話すときくらいはラクさせてあげたい?と思うのだ。

だから次お座敷で会うときがあれば、会話のコツというか、着物の柄行きや髪飾りのことを
聞くようにしてあげよう。

今回も後から気づいたんだよね、あの髪飾りは祇園祭り当日だけのために、
毎年新調しているモノだったって…。
わぁー、全く粋じゃないねネルってば!

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最近ケガをして病院に通っていたA氏。
なんだか可哀そうで、この日のお昼は、A氏大好物のうなぎにエスコート♪

■まるはん へそ曲がり [鰻]
藤枝市立花1-12-9
054-643-3251

評判は聞いていたけど、2人とも行くのは初めて。
予約が必須とのことで当日の9時過ぎ電話を入れる。

念のため早めにクルマで向かうと、田んぼに囲まれた店は案外あっさりと見つかった。
まだ開店15分前。駐車場のクルマを見ると、ネルたちが一番のりらしい。

昔のこじんまりした料亭か旅館のような和風建築。
草木が生い茂り、まるで小さな神社の境内を覗くよう。

炭焼きのいい香が辺りにあふれ出している。



年月を経て色あせた門扉には「本日分終りです」の小さな木札が。
ネルの勝手な感想だと、この札ずっとかけっぱなしな気も…



奥様に声をかけ、中へ。
石が埋め込まれた廊下にはどーんと大きな甕が。
水が注がれ、底の方でウナギがぐるぐる円く泳いでいる。

あちらへ、と指示され田んぼの見える個室へ。
カウンター席と、畳敷きに座卓の独立した個室は全部で5つほど。
一旦通されはしたもののお庭の見える個室がどうしても気になり、怪訝な顔をされながら
も部屋をチェンジしてもらう。

さっきから電話が鳴りっぱなし。
焼き方のご主人とホールの奥様、どうやら2人だけでやっているらしい。
奥様忙しさでそうとうイラっと来てそうな気配…。



庭に縁台のある個室に入り直してひといき。
なつかしいブタさんの蚊取り線香が置いてある。
田舎のおばあちゃんちに遊びに来たみたいな雰囲気だ。

夏草の生い茂った庭の向こうに広がる緑の田んぼ。
エアコンなんてなくても、ほどよく冷やされた涼しい風がさあっと吹き抜けてくる。
なんの飾り気もない薄暗い室内が、かえって清々しく居心地がいい。

20分ほど待っただろうか。
定食が運ばれてくる。
ここはメニュー表はなく、あるのは定食と肝焼きのみ。
だからオーダーも取られず、自動的に人数分の定食が運ばれてくるらしい。



出てきた鰻定食。
見た目、ふつう。

うなぎ一匹分の蒲焼、おしんこ、肝吸い、ごはん。以上。
お茶は粉茶で、おしぼりもビニールに入ったまま運ばれてくる。

かなりのうなぎ好きなA氏と、ほぼ興味のないネル。
こういうとき、A氏の反応って気になる。
やっぱりここまでひっぱてきた以上、喜んでもらいたいもの。

ネル、ひとくち食べてびっくり。
あれれ、うなぎってこんなに爽やかだっけ…???



やわらかいし、ふわっとほっくりしてて、よくある脂のしつこさは全くナシ。
まるで川魚のように清潔な風味なのだ。
うなぎ好きの人はこれで満足してくれるのだろうか?と疑問を持つぐらいの上品さ。

一方タレは甘く硬いというか、砂糖・みりん・酒等々を足して割ったような単調な味。
長年秘伝のタレを足して重ねた老舗の、といったわけ分からない独特のものではない。

でも一番驚いたのは、カリッと炭でこげ目のついた身の香ばしさ!
炭で香ばしい、ってこういうことか!!って思うぐらい炭の香がふわっと広がる。
もうたまらなく、ここが一番おいしい。

ここのうなぎの主役は、ネルの中では間違いなく、炭焼き部分。
つまりうなぎの産地やグレード、タレの具合ではなくて、料理人の技術のたまものなのだと。

いろんな料理を食べてて、その料理の完成度が何に依存しているのか、
考えることなんて滅多にない。

でもここは明らかに料理人の技術の高さが、おいしさを呼んでいるのだと思う。
箸袋には“江戸焼き”と書いてある。
でもその秘密はカウンターにいなかったネルには分からずじまい・・・。

うなぎの仕入れや選別、下ごしらえから炭のおこし方からいろいろあるのだろうけど
もしかして真っ当に正直に全ての行程を踏まえると、こんなうなぎになるのかもしれない。



糠漬けも爽やか。酸味も糠の風味も、控えめながらちょうどいい。
ごはんは器にはりつくほど水分少なめ。ただうなぎにあわせると、この硬さなのかも。

はーー、ごちそうさま♪
食べ終わってもう一匹食べてもいいかなって思った鰻、初めてだ。

お茶のおかわりほしかったけど、すでにお客さんは5~6組。
平日にもかかわらず家族連れや会社仲間、お一人様まで。

奥様はピークの忙しさ。
お茶のお替りなんて、頼めるわけもない。

いやいや、飲み物が持ち込み制!!なのもわかるなぁ。
でも飲食で一番利益が出せるのはドリンク。
それをね…。。でも、ずっと続けてほしいなぁ。


<今日のお会計>
5000円・2名/鰻定食2500円

<店を出て>
ネル:★★★★☆/純粋にうなぎを楽しむために
    サービスやインテリアは期待できないので、家族や気の置けない人と行く
    のがベスト。建物は古くても掃除はされていてこざっぱり。個室でのんびり
    落ち着いておいしいものを、と思えば高くはないのかも。

A氏:★★★★☆/人生2番目においしいうなぎ   
    変わった店だけど、味はおいしい。量のチョイスができないとか品数少ない
    とかいろいろあるけど、久しぶりに気に入ったうなぎの店ができてうれしい♪
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Posted by ネル at 11:27Comments(0)藤枝・島田の[が]