2008年04月15日

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

祇園といってもそこそこ広い。
南北に走る花見小路、石畳で風情があるのは南側だけ。
四条通を挟んで北側は花街らしい色艶が、ネオンに路地に曲がり角に
種々雑多な空気が滔々とあふれ出している。

店が新橋通との交差点より手前なのは、間違いない。
何となくの見当をつけて、とりあえず細い路地を右へ曲がる。

雑居ビルにずらっと居並ぶ店名の塊は、全てここがホントの祇園、
本物の歓楽街だと教えてくれる。
こんなフツーの格好をしたネルが歩けるのは昼間だから。
夜は美しくドレスアップした女性がスポットライトを浴びる街なのだ。

そういえば以前四条通りで見かけた
たぶんどこかのお店のナンバーワン嬢はすごかった。

時間は夕方の頃、出勤前のお買い物途中なのか、赤いドレスに白い毛皮。
脇を固めるいかつい黒服2人(ボーイさん?)はどうみてもSP役。
面倒そうに人払いしながら、でも周囲にニラミを聞かせている。

背が160ないのを除けば顔も髪型もスタイルも、全くもって叶姉妹な彼女。
人混みのなかを悠然と、笑顔を振りまきながら真っ直ぐと歩いている。
目の前の光景が信じられないほど、キレイだ。

道行く人はみんな振り返ってたし、ネルも芸能人??と思って凝視したけど
やっぱりあれは出勤前なのか、そういう人の彼女だったんだと思う。
自分と同じジャンルの性だとは思えないくらい、サイボーグみたいにキレイだった。。

京都タカシマヤ2階にはシャネルやディオール、ヴァレンティノなんかが入った
ハイファッションサロンがあって、靴のヒールが埋まるほどふかふかの絨毯敷き。
平日昼間に間違って足を踏み入れると、マダムに混じって明らかにそんな感じ
のキレイな女性たちが、のんびりと品定めをしている。

京都は美しい女性に、美しいというそれだけで、ものすごく敬意を払う。
静岡でとくに差別も区別もされず、人間中身が大事ですよ~、なんて信じてのんびり
育ったネルには想像もつかない位の断固としたキッパリさで。

…そんなことを思い出しながら
細い路地をうねうね、曲がってはまた迷い、奥の奥のまた奥へ。
しんと静まり返った路地のどん突き、
この界隈で数少ない、真昼間でも灯りと暖簾を出している店。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]
ここが今日のお昼の店だ。

■閼伽井 あかい [懐石・京料理]
京都市東山区祇園町北側347-51
075-551-8181

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

オープンは昨年11月。
以前は小料理屋か何かだった場所を、あまり手を加えず整えたような印象。
ご主人は炭屋旅館のご出身で、下鴨の吉泉でも修行していたらしい。

先客はなく、ネルたちのみ。
ネームの入った膝当てが用意され、折敷は金彩が入った朱塗りの丸盆。
はじめの一杯を注いでもらい、予約していたランチコースが、静かにはじまる。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

あぶらめのお椀。
納得のおだし。このお椀のシェイプがステキ。

奥様らしき着物の女性は小声でいたって控えめ。
料理の説明はある時も、ない時も。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

赤松の底がすのこ状になった角盆の上に盛り付けられた、八寸。
こんな盛り付けは気持ちがいい。派手な金の杯もすっと落ち着く。
これであぁ、ここは正式な懐石料理なんだな、とやっと気づく。

六角形の器の中にはアナゴの稚魚だという、のれそれ を酢で〆たものが。
黄身酢など、全体的に酢を利かせた料理が多い。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

筍の穂先がやわらか。
木の芽…、京都に来てこれでいったい何枚、食べただろう

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

ああ、また黄身酢が。。しかもホタルイカにむっちりした鯛の白子まで。。
ネルがそれほど得意でもない、酢と珍味系の連続。
A氏は大好きな白子や魚卵、珍味系連発でうれしそう。

優しげなご主人は若い衆に聞かれたことに、優しく丁寧に答えてあげる。
視界に入ってくるその感じに、ほっとする。

目の前であまりにも厳しく指導されると、なんだか食事が進まない、というか
若者の緊張感がこっちにも伝播してきて
料理の味がわからなくなっちゃいそうだから(笑)。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

この筍ごはんがおいしい!赤出汁もぴったりの濃さ。
大皿で出してくれた漬物3種も、どれもおいしい。
奥様がご飯のおかわりいかがですか、とA氏に声をかける。

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

京09 閼伽井  [祇園・東山区]

デザートはティラミスとフルーツが同じお盆で。
これでラストかと思ったら、なんと桜餅とお抹茶が登場!

しかもA氏によれば、この桜餅さっきご主人が握ってたのが見えたそう。
お抹茶もカウンターの向こうで奥様がシャッ、シャッっと立ててくれたもの。
これにはびっくり!

途中ご主人の知り合いらしいお客様が一組追加。
食べ終えるまで、ほぼ話しかけられることがなかった。

これ位のお客さんの入りで、割烹のカウンター席で
話しかけられないのはネルの中では珍しいこと。
でもそうと分かれば、気楽でいいもの。
ガイドブックめくりながらの食事だって、できちゃうもんね。

お料理は現代風とか創作ではなく、これぞ受け継がれてきた本式、なよう。
苦手食材が多かったわりには、どの器もおいしいと感じるものがあって。
また季節を変えたら、印象も変わりそう。

やー、でもあんなに静かな店、京都ではじめてだったかな。
うーん…というよりは何でネルは京都来ると料理屋さんでしゃべってばかりなのか?
って思ったほうがいいのかも(笑)

<今日のお会計>
 1万2650円・2名/ランチコース5250円×2、ウーロン茶×2 ※サ別
              
<店を出て>
ネル:★★★☆☆/きれいな細工と器、品数も満足
     意外にボリュームがあって満足。今回は食材との相性のせいか
     印象に残るものは少なかったけど、どれもきちんとした味。
     器の取り合わせも品よく華やかで、正月料理の気分だった。     
    
A氏:★★★☆☆/すごく真面目な料理屋さん
     おいしいし、彩りもキレイだし。ただ料理の説明をもう少ししてくれる
     と良かったな。のれそれって聞くまでイカかと思って食べてたよ(笑)
     大好きな珍味がたくさん出てきたのはうれしかった。
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